2014.01.28
   

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秋冬も農作業は続けますが、ゆとりのある秋冬は刺し子三昧に自身を追いやろうと思っています。

ボロ布を繋ぎ合わせる必要がない現在。
刺し子を受け継ぐ理由は…

ちくちくひたすら寒い部屋で刺し子を続けていると、手はふさがっていますが、頭はフリー。いろいろ思考が巡ります。


かつて、綿が育たない東北で寒さを凌ぐ衣服を得るための工夫が刺し子を生み出しました。
繕い刺しは次第に、様々な文様となって刺し手の願いを映し出します。
山形県庄内地方では酒田港の存在により江戸以前より綿のハギレが流入したことによって[庄内刺し子]という独特の刺しが生まれました。母から子へ、または寺子屋、お針屋で伝えられた刺し子は山形県内だけでも、少しずつ形を様々に変えて伝播していきました。

現在ではボロ布を繋ぎ合わせる必要もなく気軽に布が手に入る時代になりました。
シンプル、無地、が親しまれることは、暮らしが平穏な証と言えるかもしれません。

私たちは現在、屋根がある家に住み、毎日ご飯を食べれて、あたたかい服を着ています。最低限生きることを保障してくれる国に生きています。
命の危険が晒されることなく、冬を耐え凌ぐ衣服を夜なべで縫い合わせることも、一針一針に祈りを託すこともありません。

でも、残念ながら現在でも身体が感じない命の危険はたくさん存在します。
かつての人々は人間がどうすることもできない存在(自然)に対して、祈りました。
現在、私たちが晒されている危険の1つは、その自然を操作してしまったことによるものです。

かつての人が祈りに費やしたエネルギーは化学技術に費やされました。
そのおかげで、東北で江戸まで繰り返された大飢饉による飢餓はなくなりました。
あたたかい家に住み、あたたかい服を安く買えるようになりました。

その恩恵と弊害を受けながら、なおも私たちは何にエネルギーを費やすべきなのでしょうか?

ボロ布を繋ぎ合わせる必要がない現在。
刺し子を受け継ぐ理由とは…?

かつて祈りが文様となって受け継がれてきた、その異常なまでの手仕事の力強いエネルギー。
しつこく、時間をかけて、手を動かし続ける。想いを形にする気力。
これは今もなお受け継ぐべきものだと思っています。